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私が通う県立高等学校、白岩北高等学校は二つの科がある。



一つは普通科。有名大学進学を目標として、勉学に勤しむ学科だ。普通科は中で三つのコースに別れてしまうらしい。




近辺の大学に進学する為の"基礎コース"。六クラス中、四クラスがこの基礎コースになる。


簡易なテストと体力テストに合格したら入ることの出来る"スポーツ推薦枠"。

彼らは基礎コースに散らばって所属しているのだけれど、まとめると一クラス分の人数がいる。


そして、有名大学進学を目標としてどのクラスよりも勉学を頑張るクラス、"特別進学コース"が1クラス分の人数が所属していた






二つ目は私の所属する芸術科。この学科も三つに別れている。


簡易に言うと美術専攻、音楽専攻、書道専攻だ。

正確に言うと音楽専攻は声楽と吹奏楽に別れるそうだが、美術専攻の私にはよく分からない。



どの学科も実習を多く積み、芸術の力を身につけ社会に貢献するという学科。






私が学校の内部構成について語ったのも理由がある。それは普通科と芸術科は違いすぎるということ。




芸術科は私の学年で総勢38名

ちなみに33名が女性、5名が男子だ。




もとより男子との関係を持ったことの無い私は高校生になり、男子との会話をする機会がほとんど無くなったということ

結局はこれが言いたかった。








つまり物語的な恋愛しか知らない私には現実の恋愛というものを人伝に知って

私が恋愛に対して思っていることや感じていることは全部ロマンチックな妄想でしかないのかと思い始めていた





「ねぇ陽茄ちゃんはさ、本気の恋ってどう思う?」


「本気の恋ぃ?…どうなってもその人以外と付き合わないとか?」


「爽夏は黙ってて!私が彩花に聞かれたんだから…ゴホンッ」


「絶対ろくなこと言わない…」






陽茄ちゃんはわざとらしく咳き込むとまるで世界史の片渕先生のように人差し指を上にピンと立てて自慢げに話した







「ズバリは顔と金よ」


「はい、出たー。陽茹のがめついメンクイ。あやちゃんの純粋を汚さないで」


「しッつ礼!ほんと爽夏そうゆう所あるよね、私は真面目に答えてるのに…!」


「だいたいこないだの土曜だってさ…」






よく分からない二人の休日にあったトラブルを爽夏ちゃんは自分一人が頑張って解消したかのように、私と陽茹ちゃんに向かって語りかけた。

陽茹ちゃんはそれに対抗するかのように先先週の日曜日ことを話題に出す。





この二人に聞くべきじゃなかった。いつも私の事はそっちのけで親族の自慢話や自分がいかに特別な存在であるかを語る武勇伝。基本的にはいい子達なのだが

彼女らの話には同意も共感も示すことは出来ない。ただ「そうなんだね」と微笑むことしか許されないのだ。




語って貰うには全然構わない。むしろそれで気が済むならば語るべきだと思う。だけどお願いがあるんです、二人に。





休み時間度に私の目の前にわざわざ来てそんな話をしないで下さい。本が読めない。


二人にとっての休み時間が私の座禅時間になる前にどうかお願い




私はそんな言葉を今日も笑顔でかき消した。










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