半ば強引に押し付けるようにして渡された名刺は亜耶の手の中に入り込む。 「俺、本気なんで!これからよろしくお願いします!」 「え、あ、ちょっと!」 深々と頭を下げてダンボール箱を持ち上げて去っていく王子。 「嘘だぁ……」 取り残されたのは亜耶と…社内の女子社員に売り捌けばプレミア級の価値がつくであろう王子の名刺。 これをどうしたものかと戸惑う中に僅かなトキメキが亜耶の中に芽生え始めたのは、神のみぞ知る話。 fin.