2.準備
「ふあ〜、眠い〜あ、お願いします!」
そう言いながら眠い目を擦ってヤス君の車に乗った。
「うい〜、てか集合より30分前なんだけどみんな車で行ったら5分で着くのにみんな張り切りすぎじゃね?」
そう言ったヤスくんの言葉に私と他に車に乗り合わせたメンツで激しく同意した。
「ヤス〜、コンビニ寄っていこ〜どうせ後30分あるし朝飯食おうぜ」
乗り合わせたヒロキが二日酔いのテンションで言った。
「え、ダメですよヒロキくん。皆行ってるんだから!後で朝ごはん出るでしょ!」
「えーでもまじで何か入れないと吐く。皆どっちがいい?」
「…」
「え!みんな無視するの!翼!お前どっちがいい??」
心の中ではとてもどっちでもいい。けど、二日酔いの人からしたらそうだよね。しんどいよね。私も同じ立場だったらしんどい。そう思いながら口を開いた。
「えー、どっちでもいいけど寒いから味噌汁飲みたいかも〜」
「ね!でしょ?ほら!ヤス!コンビニ行こ!」
「ダメです。ほらもう先輩たち行っちゃったから行きますよ!」
そう少し怒った口調でヤスくんはそのままコンビニの横を素通りした。
「ああ〜、我らの味噌汁〜」
「行きません!」
そんな茶番を繰り広げながらお宮に着いた。
うちの祭りは3地区合同の地元では1番大きい祭りなので3地区揃ってそれぞれのお宮の旗を揚げに向かう。と言っても力仕事なので私たち女子の仕事は特にない。皆で前の晩飲み明かしながら広場に泊まって向かうのだ。
お宮に着いた時にはもう他のメンツは居るけど皆時間までのんびりタバコを吸いながら話していた。
そこで別の車で先に来ていたカエデと合流。
カエデは私より年下だけどしっかり者で面倒見がいい。
カエデと顔を合わせて煙草を吸っているとカエデが呟いた。
「毎年ウチら思うけどさ、ウチらいる意味なくね?」
「うん。分かる。毎年暇なのになんで朝早く来てんのかね。もう少しアイとハルナと寝ていればよかった。」
特にやる事も無いので私とカエデは他の準備している人達をからかいに行く。
「あ!モリくんおはよ〜!」
「あ、カミくんのジャージ可愛い〜」
そんな事をしながらお宮の中を練り歩くのが私とカエデの恒例行事。
そんなこんなにで他地区の登りを上げ終わったら次は私達の地区のお宮の番。
皆でお宮に戻って登りをあげる。
上げおわったら今度は山車の準備と広場の片付け。
私とカエデは広場の片付け担当。
毎日集まりで使っていた建物の中のキッチンスペースを主に片付ける。
「カミくんどこまで片付ける?」
「全部!」
「冷蔵庫の中も?」
「そう!俺提灯置きに行ってくるからあと他のやつに聞いて!」
「へーい」
そう言いながら忙しそうなカミくんの姿を見送った。
「よし、やろー!」
「おー!」
そう言って私達は片付けを始めた。
「げ!何この食材!」
「このお酒超絶年季入ってるんですけど!誰か飲めよ!」
そんなことを言いながら私達は楽しく片付けをした。
「翼ーこの籠に手拭い巻いて〜」
それはリュウくんの声だった。
「はいよ〜」
そう言いながら手ぬぐいを貰って私は渡された籠に手ぬぐいを巻いて固定を始めた。
「翼、テープ使ってもいい?」
そう聞こえたのはツカサの声だった。
ツカサは今年久しぶりに祭りに出るらしい。久しぶりに会ったツカサは痩せていて昔より少しカッコよく見えた。
「いいよ〜」
「ありがとう。」
アイツイケメンになったな〜。
そんな事を考えていたらヨシくんが皆ーご飯だよ〜!
そう言ってコンビニで爆買い中国人の如く大きな袋を3つ抱えて戻ってきた。
「わーい!ご飯だー!」
作業に区切りを付けて私は手を洗いに行った。
「あ!翼お茶ついでに持ってきて〜あとコップも!」
そんな声が聞こえて私は軽く返事を返した。
「とりあえずお茶は…あ、倉庫の中入れちゃったや」
さっき片付けた時に飲み物調味料も全て入れてしまったのだ。幸い1本残しておいたけど半分しかない。
「どう考えても皆の分ないから取りに行こ〜
とりあえず先に渡してついでみんなにある分だけ出してもらおっと。」
そんな事を1人で考えながら呟いていると
「あったー?」
そう聞こえたのはリョウだった。
「ないから先にこれ分だけ出しちゃって〜。
私持ってくる」
そんな事を言いながらリョウにはいっと渡して私は倉庫へ向かった。
戻って来てワクワクしながらサンドイッチを探しに袋を漁ったらない!私の好きなレタスとチーズとハムのサンドイッチがない!
少ししょんぼりしながらおにぎりを適当に1つ持ってカエデの隣に座った。食べたかった…うぅ。
仕方なくおにぎりをあけようとするとツカサがそっと差し出してきた。その手の中にあったのは私の好きなサンドイッチ。
「え!待って!なんで?これ私が好きなやつ!」
そう言うとツカサは
「お前探していたのこれだろ。ほんと好きだなこのサンドイッチ。」
と言いながら笑った。
え!なに!私好きって言ったっけ?なんか怖いけどいっか。やったー今年もいい1年になりそう〜
ルンルンしながらツカサからサンドイッチを、受け取り
「ツカサくんありがと〜!」
と笑った。
あーまじ幸せ。
サンドイッチを食べて私はさっさと作業に戻った。
「あ、ねえツカサくんテープちょーだい」
「あ、うん」
ツカサからテープを受け取り作業をしているとどうしても両手を離せなくて
「ごめん!ここにテープ貼ってくれる?」
「OK。どのくらいの大きさ?」
「こっからここまで!」
私はツカサに手伝ってもらい何とか終わった。
「ふー、終わった〜。ツカサくんありがと〜」
「…うん。」
そう言いながらどこかへ消えていったツカサ。
その表情に少し疑問を持ちながらも私は自分の支度とやる事が多かったので広場をカエデと後にした。
