夜空に君という名のスピカを探して。

 次の日、朝のホームルームで昨日の授業中の居眠りについての話し合いが行われた。

教壇に立って話し合いを進めていく宙くんは、昨日から今日まで私と一切口をきいていないというのに、悲しいくらいにいつも通りだった。

 意地を張っているわけではない。

本当は言い過ぎたと謝りたかった。

でも、どう切り出したらいいのか、分からなかった。

 ぼんやりしていると、目の前に先生から白い紙を差し出された。

軽くお辞儀をして宙くんが受け取ったのは、進路希望調査票だった。

 それに、ドクンッと心臓が跳ねる。

 宙くんはなんて書くのだろう。

やっぱり、家業を継ぐのだろうか。

宙くんは筆入れに手を伸ばしてシャープペンを取り出すと、その先を【希望する進路】と書かれた枠につける。

それからいざ書こうとして身を乗り出した彼だったが、息を詰まらせて固まってしまった。

緊張しながら見守っていると、宙くんはシャープペンを置いて進路希望調査票を鞄にしまってしまう。

それから額に手を当てると、深い息をついて俯いていた。
 


 ──キーンコーンカーンコーン。

 昼休みの合図であるチャイムが鳴り、当然のごとくダイくんとカズくんが机を班にする。

この光景も数日で見慣れたものとなった。


「なぁ、宙は進路希望調査票になんて書いたんだ?」


 コンビニのおにぎりの包装を豪快に空けたダイくんが、好奇心旺盛な目で宙くんを見た。

そんな彼を「言いたくなかったら、言わなくていいんだよ?」と、カズくんが気遣うように声をかけてくる。

 そもそもいったいどこから漏れたんだか、宙くんが加賀見不動産を継ぐという噂を耳にしているのだろう。

そして浮かない表情をしている彼に、カズくんはなにか事情があるのだろうと察しているに違いない。