夜空に君という名のスピカを探して。

『ねぇ宙くん、夢のこと……。お父さんとお母さんには、話さないの?』

「話したところで、どうにもならないからな」


 迷わずにそう言った彼だけれど、胸はズキズキと痛みを増していく。

どうにもならないなんて諦めているように装っても、本当は強がっているだけだということは明白だった。

『本当は諦められないくせに』

「だとしても、俺に会社を継ぐ以外の道は用意されてないって言っただろ」


 言葉の端々に苛立ちを含ませながら、話は終わりだとばかりに歩き出す宙くんにもどかしさが募る。


 最初から道がないなんて、なぜ決めつけるのだろう。

私は自分の人生は自分で決められると思っているし、たとえそれで皆から認められなくても夢に向かって走り続けたい。

それが叶わなくなった今の私だからこそ、より強くそう思う。


『なら宙くんはこの先一生、後悔しないって言える? お父さんとお母さんがあぁ言わなければって、誰かを責められずにいられるの?』


 私は聖人じゃないから、誰かを責めずにいられなくなると思う。

でもそうやって誰かのせいにする自分は嫌だから、そうならないように自分が望む生き方をするべきだ。


『自分の望まない未来の先に、君の幸せはあるの?』


 夢を追うのも決められた道を進むのも、茨の道を進むのも平坦な道を進むのも、選ぶのは自分だ。

納得のいかない選択をして、未来で過去を悔いても取り戻せないものもある。

だから選択のときがきたら、真剣に心に向き合って考えてほしい。


『お父さんやお母さんがどれだけ立派な人だとしても、常に正しいとは限らないんだよ』

「親のほうが長く生きてるんだぞ。癪だけど、俺よりは正しい判断ができると思うけど」

『親と比べたらもちろん人生経験は少ないけど、自分の将来くらい自分で決められる!』


 宙くんの言う正しい判断ってなに? 

それが苦労をしない、安定した未来のことを指すのなら間違っていると思う。

そもそも自分で決めていない時点で、正しいとは言えないと思う。

だって、苦労はしなくても後悔は残るから。