夜空に君という名のスピカを探して。

「君とのお話だから、書きたいんだよ」


 離れていた五年間、欠けた心の欠片を求めて宙くんは空を見上げ、私はこの地上で君という名のスピカを探していた。

 けれど今度は君の隣で、君というスピカを見つめていたい。

そして、永遠に終わらない物語を君と描いていこう。


「しかたないな、そのときはまた付き合ってやるよ」


 なげやりな言い方だけれど、これは心から望んで言ってくれていると分かる。

彼は頭がいいくせに、気持ちを伝えることに関しては不器用なのだ。

 そんな彼を心から愛しく思う。

君との未来を諦めなくてよかった。

怖くても、不確かな世界で君との未来を信じた過去の自分に感謝しながら、ふたりで手を繋いで星を見上げる。

 そこには今まで見てきたものの中でいちばんと言っていいほど美しい、私たちの再会と未来を祝福してくれているスピカが煌いていた。
                      (END)