あの月が丸くなるまで

「勉強しか取り柄のない鉄仮面のくせに、蓮に媚び売ってんのはあんたじゃない!」

「どうせそのお弁当だって、親にでも作らせてんでしょ? 家庭的アピール? ブスのくせに……あんたなんか、蓮に不釣り合いよ!」

 ぐ、と唇をかみしめる。


 不釣り合いだなんて……言われなくたって、自分が一番わかっているのに。

 背後で扉の開く音がして、美希、と呼ぶ冴子の声が聞こえた。でも、振り向けない。少しでも動いたら……

「あんたなんかどうせ……!」

「みーきーちゃん!」

 玉木さんが言いかけた言葉に、陽気な声が重なった。私は、とっさにお弁当の入ったバッグを背後に隠す。



「お昼行こー」

 いつもと変わらない上坂が、笑いながら近づいてきた。青石さんたちも、は、としたように口を閉ざす。

 私は、後ろ手にしたバッグを、ぎゅ、と握りしめた。