あの月が丸くなるまで

「なら、わざわざ私なんかとつきあわなくたって、他にいくらでも可愛い子がいるじゃない」

「梶原さんも、十分可愛いよ?」

「用事がそれだけなら、私、もう帰るから」

 私は、飲み終わったカップを持つと席を立った。あわてて上坂も立ち上がる。

「送るよ。梶原さん、家、どこなの?」

「川中町」

「え? じゃ、駅と反対方向じゃん」

 そうよ。あんたが相談があるなんて言うから、わざわざ家と反対方向の駅まで出張ってきたのよ。

 そうは思うけど、それを口に出すほど性格は悪くない。