あの月が丸くなるまで

「ふう……」

 シャーペンを置いて、いすにのけぞるように背を預ける。天井を仰ぎ見ながら思いっきり伸びをすると、ぼきぼきと背筋が伸びる音が聞こえたような気がした。

 うー、こった。


 壁にかけてある時計に目を走らせると、ちょうど短針と長針の針が、一番上で重なり合うところだった。深夜、寝静まっている家の中は、しん、と静かだ。

 眠気覚ましにコーヒーでも入れてこようと、立ち上がった時だった。急に机の上の携帯が鳴ってびくりと飛び上がる。

 こんな時間に、誰?

 携帯を取り上げてみると、電話してきたのは上坂。


「もしもし?」

『起きてた?』

「うん。どうしたの、こんな時間に」

『月が、綺麗だよ』

「月?」

 いきなり何を言い出すの、こいつは。