あの月が丸くなるまで

「美希に話そうと思って機会をうかがってたのよ。けど、改めて話すのも、きっかけがつかめなくて」

 そう言った冴子の、表情はかわらないけど、これきっと、照れてる。なんだかその姿が可愛くなって、つい笑いが漏れた。ぐっちょんぐっちょんと気持ち悪い靴の感触も、今だけは忘れられる。


「詳しく聞かせてよ。どこいく? 『ライムレンジ』?」

「『珈琲村』のチーズケーキがいい。今日は、おごる。口止め料」

「やった♪」

 冴子とは、お互い竹を割ったような性格が似ていて、高校に入ってすぐ仲良くなった。そんな冴子もいつの間にか、恋をしてたのね。しかも相手が教師とは。

 好きな人と想いが通じるって、どんな気持ちなんだろう。

 さっぱりした顔の冴子と並んで、私は駅へと向かった。



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