あの月が丸くなるまで

「上坂と?」

「他の誰かでもいいけど」

 冴子の言葉に、私はしばらく考えこむ。

「もし本当に好きな人なら、多分、自然とそうなるんだろうと思うけど……冴子?」

「やっぱり、そうだよね」

 足元を見ながら冴子は飄々とした顔で言ったけど、その顔には何か悩むような色がにじんでいた。


「冴子、最近好きな人でもできた?」

 私が聞くと、冴子は私に視線を戻して、ふ、と微笑んだ。これ、肯定されているよね。

「誰?」

「聞きたい?」

 こくこく、と頷く。私の知る限り、冴子に好きな人とか彼氏がいたことはない。