あの月が丸くなるまで

 いつの間に入れ替わったものか、私は上坂の膝枕で眠っていたのだ。叫び声をあげて飛び起きた私に、上坂はすでに六限も始まってしまっていることを笑いながら告げたのだった。

 頭にきた私は、今日は冴子と帰るから、と上坂を屋上に置いてきた。

「ただのバカップルののろけ話にしか聞こえないわね」

「私も、これが他人事だったら同じ感想を持つと思うわ」

「実際、どうなのよ。バカップル」

「どうって言われても……何の色気もないわよ、私たちじゃ」

「手、出されたりしない?」

「どうやら上坂は身体目当てみたいだから出したいらしいけど、拒否に決まってる」

「したいと思う?」

 私は、やけに食い下がってくる冴子を振り向いた。冴子は、思いがけず真面目な顔をしている。からかっているのかとも思ったけど、なんとなくそんな雰囲気じゃない。