あの月が丸くなるまで

「美希って、そういうとこ頑固というか負けず嫌いよね。で?」

「最悪な履き心地ね。それは、認めるわ」

「じゃなくて。お昼の話よ。何してたの」

 冴子が何のことを言ってるのかに気が付くと、とたんに嫌な汗がでた。

「……寝てた」

 駅までの道を並んで歩く。ぐっちょんぐっちょんと、晴れた天気に似合わないBGMを引きずりながら。

「寝た。まあ。学校の屋上で?」

「変な想像しないでよ。言葉通り、本当に眠ってただけだから」

 穏やかな日差しと上坂の規則正しい寝息に眠気を誘われて、うっかり閉じた目をもう一度開いた時には、すでに六限が終わりかけていた。


「しかもあいつ……起こしもしないでずっと人の顔見てて……」

 は、と気づくと、目の前ににこにこした上坂の顔があった。