あの月が丸くなるまで

その日の帰り。

 下駄箱のふたをあけた私は、眉をしかめる。

「どうしたの?」

 冴子が、同じようにローファーを取り出しながら聞いた。無言のままの私の下駄箱を、ひょい、と覗き込む。

「靴は?」

「どこいったのかしらね」

 ため息をつきながら、私はふたを閉める。

「ずいぶん、古典的な嫌がらせね」

「古典的だけど、地味に効くわ。これじゃ、帰れないじゃない」

 私は、しょうがなしあたりを探し始める。冴子も一緒に探してくれた。しばらくして私のローファーは、掃除用具入れのバケツの中からびしょ濡れになって見つかった。


「どうする?」

「履いて帰るわよ。切られたりしてないから、乾かせばまだ使えないことはないし」