あの月が丸くなるまで

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 ごはん食べた後で眠くなるのはわかる。実際、屋上でお弁当を食べた後は、上坂はたいてい昼寝をしていた。それも、私の肩だの足だのを枕にして。

 あまりにも上坂が平気でこういうことするから、むしろ変に意識する方が恥ずかしくて、ダメとも言えず私は上坂の好きにさせていた。ただ、その間の私は思いきり暇だった。今度は本でも持参しよう。


「髪、きれいね」

 手持無沙汰な私は、太ももの上に乗せられた上坂の髪を、みょーんと引っ張ってみる。栗色の、癖のあるやわらかい猫っ毛。私とは正反対だわ。

 もう半分うつらうつらしながら、上坂は半目の状態で答えてきた。

「そう? 結構手入れしにくいんだ。毛質が細くて」

「染めるのは校則違反よ」

「あ、これ、地毛」

「嘘ばっかり」

「ホント、ホント。ちゃんと美容院から証明もらってるよー」