あの月が丸くなるまで

 緊張して見ていると、青石さんはくすくすと笑いながら上坂の肩にもたれかかって、その手元をのぞきこむ。

「蓮が皿洗いする姿なんて、考えたこともなかったわ」

 それは、女子相手には絶対出さない甘えるような声。少し視線を落としたその顔も、男ならかわいいって思うんだろうな。けど、上坂はそんな態度にも慣れてるのか、顔をあげもしない。


「見ないでー。かっこわりー」

「男の人だものね。苦手で当然よ。私、手伝ってあげようか?」

「え?」

 嬉しそうに振り返った上坂に、山口がぴしゃりと言った。

「手、出すなよ。それ蓮の仕事」

「はあい。じゃあね、蓮。がんばって」

「おー」

 青石さんは可愛らしく首をすくめて、玉木さんたちと一緒に家庭科室を出ていった。