あの月が丸くなるまで

 私たちは、手分けして食べる準備を始める。他の班もそれぞれ食事が完成したらしく、同じように食べる準備を始めた。

 家庭科室が、いろんな匂いでいっぱいになる。がやがやと賑やかなこの感じ、あれだ。ファミリーレストラン。


「んー、おいしそう」

 竹内さんが、鼻をくんくんさせてフライパンに近づける。

「和食って、もっと時間かかるイメージあったけど、意外にさくっとできちゃうのね」

「他のとこで和食ってあったっけ?」

「四班が、ちらしずし作ってる」

「あー、あれもうまそう」

 長谷部君が首を伸ばして他の班を眺めた。


 今日の調理実習のテーマは、『うちの夕ご飯』だ。他のとこは、オムライスとかパスタとかの洋食が多い。どれも工夫をこらして美味しそうに出来上がっている。うちの班は、長谷部君の強い希望により、肉じゃがになった。なんでも、和食が好きなんだと。