あの月が丸くなるまで

 ☆


「どうだった?」

 教室に帰ると、相変わらず淡々とした顔で冴子が聞いてきた。

「どうって」

「彼氏と一緒にらぶらぶランチって、どんな気分?」

「なんかそこ、いろいろつっこみたいんだけど……」

「つっこまれたの?」

「何をよ」

「ナニを」

「ばかおっしゃい」

「冗談はともかく」

 数学の教科書を出しながら、冴子が言った。


「あんたたちが出てった後、やっぱりいろいろ言われてたよ。特に、青石さんたち」

 私は、前の方の席に座る髪の長い女性徒にちらりと視線を送って、深々とため息をついた。

「好き好んで行ったわけじゃないのに、なんでいわれのない恨みまで買わなければならないの……」

「恨みとか妬みとか、そんな感じじゃなかったわよ?」

「え?」

 冴子は、わずかに首を傾げながら言った。