あの月が丸くなるまで

「食べないの? なら、俺食べちゃうよ?」

「だめ」

 さらに身を乗り出す上坂から、あわててカツサンドを遠ざける。空腹のまま午後の授業を受けることだけは避けたい。

 食事を再開した私は、なるべくカツサンドから意識をはずそうと、話をそらした。


「そんなに欲しければ、上坂が自分で作ってみればいいんだわ」

「何を?」

「お弁当」

「はあ? 何言ってんの? 俺、男だよ?」

「今どき、おかしくないでしょ。男だって、料理くらいできなきゃ。……というのは、うちの方針だけど」

 わずかな沈黙のあと、上坂は戸惑うように言った。

「……でも、男が料理って、変だと思わない?」