あの月が丸くなるまで

「俺にも、弁当作ってよ」

 顔を上げると、にっこりと、邪気のない笑顔で上坂が言った。

「毎日パンや学食じゃ飽きるからさ。美希の料理、気に入った。だから、作って」

「お家で作ってもらえばいいじゃない」

「あー、だめだめ。うちのは弁当なんてつくんないし」

「じゃ、家政婦さんに……」

「美希」

 ずい、と上坂が顔を近づけてきた。

「美希の手料理が、食べたい。俺のために、作ってよ」

 色気たっぷりの視線で迫られた迫力に、つい、うなずいてしまった。

「……いいけど」

「わーい、彼女の手作り弁当get~♪」

 はしゃぐ上坂をしり目に、私は再びカツサンドに視線を落とす。

 これ……上坂の食べかけだよね……どうしたものかな……