「デートのお約束?」

 振り返ると、私より少し背の高い女子高生。



「おはよ、冴子」

 私と同じような無表情で立っていたのは、同じクラスの小野冴子。高校からの私の親友だ。

 大人びた美人で、常に冷静な姿勢を崩さない。肩より少し長い髪が、さらりと動いた。



「おはよ。今の、上坂じゃん。金曜、一緒に帰ったんでしょ? ホントにつきあい始めたの?」

「んー……つきあい始めたのは本当だけど、本気じゃないわ」

「なにそれ」

「つまり、なんだかよくわかんないってコト」

 軽く目を見開いた冴子に、私は一つため息をついた。