あの月が丸くなるまで

「そういうこと今までしたことないから、興味ないと言ったら嘘になるけど……積極的に、したいとも思わないなあ」

 私だって別に、結婚するまで清い体で、なんて思っているわけじゃない。そういう雰囲気になれば、それはそれ、と思ってはいるけれど、上坂のはどう考えてもその機会ではないような気がする。


「じゃあ、やめた方がいいと思う」

「そう?」

「うん。遊びでそういうことする人も多いけど、私、美希ちゃんにはそういうことしてほしくない。本当に好きな人として、幸せな行為だって思って欲しい」

「幸せ……?」

「そうよ。好きな人と肌を合わせるって、とても幸せなことだと、私は思うわ」

「好きじゃなかったら、気持ちよくなれない?」

 莉奈さんは、洗い物の手を止めてまっすぐに私を見た。