「姿が見えたから。ご一緒していい?」

「ごゆっくり。私、もう帰るとこだから」

 私が立とうとすると、さ、と岡崎さんが一冊の雑誌をテーブルの上に出す。

「明日発売の最新号。チェックしていかない?」

「……」

 浮かしかけた腰をまた椅子に戻すと、岡崎さんはくく、と笑った。

「正直でよろしい」


 自分の分のパスタプレートをテーブルに置くと、岡崎さんは私の正面に座る。私は、ちらりとそのプレートに視線を流した。時間は、午後4時を過ぎている。
 
「おやつにしちゃ、重いわね。それとも夕飯?」

「とりあえず、昼飯、かな。先生の話が長引いちゃって食べ損ねた。夏休み中だっつーのに呼び出されたと思ったら、実習の後片付け手伝えってさ」


「それは、お疲れ様」