ぴろりん。


 バッグの中で、軽い音がした。誰だろ。

 カフェでコーヒーを飲んでいた私が携帯を取り出すと、ラインが入っていた。

『今夜、暇?』

 シンプルなメッセージに、私もシンプルに返信をする。

『同級会』

『高校の?』

『そう』

『なら、明日は暇?』 

 私は一つため息をついた。

『死ぬまで忙しい』

 すると、爆笑しているスタンプが返ってきた。

『わかった。誘うのは諦めるから後ろ向いて』

 後ろ?

 反射的に振り向くと、カフェの入り口で岡崎さんが手を振っていた。