「約束ってのは、こういう風にするのよ」

 真ん丸な目をした上坂を、下からにらみつける。

「私がいつまでも待っているなんて思ったら、大間違いだからね。さっさと夢を叶えて会いにきなさいよ。でないと、先に私が自分の夢を叶えて、百年後にはあんたのことなんかきれいさっぱり忘れちゃうんだから」

「……美希」

「なによ」

「顔、真っ赤」

 満面の笑みで言った上坂にさらに文句を言おうとしたら、ぐい、と体ごと持っていかれた。抗議の声は、そのまま上坂の唇に飲み込まれる。



 遠くで最後のチャイムがなっていた。

 そうして私たちは、高校生活を卒業して、それぞれの道を歩き始めた。