「私と会えなくても、いつかは自分で選んだ道かもしれないわよ?」
「かもしれない。でも、今ここに立っている俺は、美希という存在がなかったらいなかった。……美希」
上坂が、真っ直ぐに私を向いて、真面目な顔になった。
「次にお前に会う時には、俺は一人前のメイクアップアーティストだ」
「……うん」
「親父は、まだ俺がメイクアップアーティストになることを許してはくれていない。だから俺、卒業したら家からも……美希からも離れて、本気でやってみる」
私は、ただ黙ってその言葉を聞いていた。おそらく最後になるだろうその言葉を、一言も聞き漏らさないように。
「かもしれない。でも、今ここに立っている俺は、美希という存在がなかったらいなかった。……美希」
上坂が、真っ直ぐに私を向いて、真面目な顔になった。
「次にお前に会う時には、俺は一人前のメイクアップアーティストだ」
「……うん」
「親父は、まだ俺がメイクアップアーティストになることを許してはくれていない。だから俺、卒業したら家からも……美希からも離れて、本気でやってみる」
私は、ただ黙ってその言葉を聞いていた。おそらく最後になるだろうその言葉を、一言も聞き漏らさないように。



