あの月が丸くなるまで

 ☆


 なにあれなにあれなにあれ。

 確かに、軽い奴だとは思ってたけど。あんなに簡単にホテルに誘うもの? というか、私って、そんなに軽い女に見られてたの? 

 ベッドに突っ伏して身もだえていた私は、ぎゅ、と顔を枕に押し付けた。


 そうか。

 上坂が私とつきあおうっていったのは、身体目当てだったのか。

 何も、私みたいな貧弱な体狙わなくても、上坂ならもっとむちむちのお姉ちゃんがいくらでもついて来るだろうに。

 何で、私になんか声かけたんだろう。


「美希ー、飯は………………どした?」

 ノックと同時に部屋のドアがあいて、拓兄が顔を出した。私はむくりと起き上ってめがねをかけ直す。

 梶原拓巳。現在大学三年生の長兄だ。