あの月が丸くなるまで

「もう、遅いのよ」

「……え?」

「それだけ好きになっちゃったんだから、今別れようといずれ別れようと、もう遅いの」

「……」


 好きだった。そう認めたら、ずっと封じ込めていた気持ちが、溢れて止まらなくなる。

 好き。大好き。

 あの時莉奈さんは、幸せそうな笑顔でその言葉を言えたのに。私の中の好きって言葉は、どうしてこんなに切なく響くの。


 ぽろぽろと涙を流す私の肩に、莉奈さんが、そ、と手を置いた。

「でもね、泣くには早いわよ? まだ終わってはいないんだから」

「莉奈さん……?」