あの月が丸くなるまで

「お前は、いい子だよ。ちゃんと、誰かに好きになってもらえるくらいに。お前は、もっと自信を持っていい」

 その言葉に、莉奈さんも微笑みながら頷いた。

「私もそう思うわ。彼にとって美希ちゃんは、全然つまんない女の子なんかじゃないのよ」

「でも……怖いよ」

「何が?」


「つき合ってみて、あいつのことよく知れば嫌いになれると思ってたの。でも……」

「彼、そんないい加減な人じゃなかったのね」

 私は、またこくりと頷いた。

「これ以上好きになっちゃったら、きっと別れるのがつらくなるでしょう? それが、怖いの。そんな思いをするくらいなら、約束通りこのまま笑って……」

「美希ちゃん」

 莉奈さんが、穏やかな笑顔で私を見た。なぜか、拓兄は天をあおいでいる。