ベンチに押し倒されたような格好になってしまった私は、じたばたと起き上がろうとする。けれど、押さえつけている上坂の力が強くて……動けない。
「や……やだっ! 離して!!」
「お前の手なら、こんなに簡単につかめるのにな」
「え……?」
しみじみとした低い声は穏やかで、狂気に駆られているようには聞こえなかった。少しだけ落ち着いて、私は上坂の顔を見上げる。
上坂は、困ったように笑んでいた。
「好きになった女は、今までたくさんいた。でも、別れたくないと……離したくないと思ったのは、美希が初めてだ。圭とのツーショット見た時は、あやうくスマホ投げそうになった」
「み、見たの?! あれ?!」
「や……やだっ! 離して!!」
「お前の手なら、こんなに簡単につかめるのにな」
「え……?」
しみじみとした低い声は穏やかで、狂気に駆られているようには聞こえなかった。少しだけ落ち着いて、私は上坂の顔を見上げる。
上坂は、困ったように笑んでいた。
「好きになった女は、今までたくさんいた。でも、別れたくないと……離したくないと思ったのは、美希が初めてだ。圭とのツーショット見た時は、あやうくスマホ投げそうになった」
「み、見たの?! あれ?!」



