あの月が丸くなるまで

「……なんで、それ……」

「青石さんが教えてくれた。学食Aランチ一ヶ月分なんて、私ってずいぶん安く見積もられたものね」


『面白半分に、みんなで賭けたのよ。あんたが落ちるかどうか。あんた、蓮のこと好きになったんでしょ? だから、もうおしまい。いつまでも勘違いして、蓮にまとわりつかないで。あんたみたいなブスと一緒にいるなんて、蓮が可哀そう。もう蓮に近づかないで!』

 叫ぶ声は、まるで泣いているように聞こえた。


「確かに、美希に声かけたきっかけはそうだった」

 気まずそうにだったけど、案外あっさりと上坂は認めた。