「よ」

「あ」


 校舎をでると、校門の柱にもたれて上坂が待っていた。手ぶらだったけど、一応、制服だ。

「じゃ、また明日ね。……がんばって」

 冴子が、ぽん、と私の肩を叩いて帰っていった。

 できれば私も、このまま帰っちゃいたかったなあ。

 私は、上坂に気付かれないようにため息をついて言った。

「連絡、くれた? 私の携帯、電池切れてて」

「あ、やっぱり。電話したら電源が入ってなかったから。よかった、ここで捕まえられて」

 上坂は、穏やかに笑った。

「いろいろ、話したいことがあるんだ。時間、いい?」

「……うん」

 私たちは、微妙な距離をとって歩き始めた。


  ☆