あの月が丸くなるまで

「いい気になるんじゃないわよ」

 案の定、そこにいたのは青石さんだった。

 あれ?

 その顔を見て怪訝に思う。今日、彼女と話すのは初めてだけから、気付かなかった。いつもあれほど身だしなみに気をつかっている彼女の目が、赤く腫れぼったい。

 まるで……一晩泣き明かしたような。


「これ以上蓮にまとわりつかないで。あんたのことなんて、本当は蓮は好きでもなんでもないんだから」

 まるであたりを気にしない青石さんの声に、教室に残っていた生徒も何事かと視線を向けてきた。

「人から聞いた上坂の気持ちをうのみにするほど、私はばかじゃないつもりだけど」

 私が淡々と答えると、青石さんは勝ち誇ったように笑った。

「すっかり彼女気取りね。かわいそう。自分がからかわれていることも知らないで」

「……どういうこと?」

 ただならぬ雰囲気に、私はまっすぐに青石さんに向かいあって次の言葉を待った。