あの月が丸くなるまで

「あの……」

「ん?」

「は、離して……」

「やだ」

「でも……」

 私の体に回された腕に、わずかに力がこもった。上坂の体温を、首筋に熱く感じる。息苦しいほどに、心臓が跳ねていた。

 どうしよう。どうしたら、いいの。

 頭が真っ白になって何も考えられないまま、めちゃくちゃ早くなっている自分の心臓の音だけを聞いていた。

 だめだ、私。数学ができても英語ができても、こんな時にどうしていいのか、全然わかんない。


「美希」

 私の手を掴んでいた上坂の手が、ゆっくりと体をあがってきて、私の顎にかかった。そっと、私の顔を横にむける。目の前には、少しだけ緊張したような上坂の、顔。