あの月が丸くなるまで

「うん。ちゃんと、目標が定まったせいかな。前からカッコよかったけど、今の上坂は地に足がついている感じで、すごく、素敵。やっぱり上坂……って……」

 私の言葉を聞いていた上坂の目が、丸くなっていることに気づいて、口をつぐんだ。自分の言葉がようやく頭の中に入ってきて、頬が瞬時に熱くなる。

 うわ、またやっちゃった私?! どうしてもうちょっと考えて発言しないのよ! 上坂のことになると……こんなのいつもの私じゃない。

「私……帰る、またね!」

 私はあわてて身体をひるがえした。ドアノブを掴んだ瞬間、その手を上からノブこと握られる。上坂のもう片方の手が、私の身体に巻きついて……気がつけば私は、後ろから上坂に抱きしめられていた。

 心臓……口から飛び出しそう。

 上坂は、その姿勢のまま、何も言わなかった。