あの月が丸くなるまで

「……いや、自分で帰るよ。今、ケンジさん、外出中なんだ。お世話になったから、黙って帰るわけにはいかない。今夜きちんとあいさつをして、明日になったら一人で帰る。自分で出てきたんだから、帰る時もちゃんと自分の足で帰らないと」

 そう言った上坂に、いつもの軽薄さはない。


 会えなかった一週間の間、上坂は何を考えていたんだろう。未来を形にする決心をした上坂は、いつものへらへらしてる時とは全然違う顔をしていて……私は無意識のうちに、見惚れていた。

 ぼうっと、その顔を見つめながら、何も考えずに言葉が零れ落ちる。



「上坂、ちょっと変わったね」

「そうか?」