あの月が丸くなるまで

 結局、図書館を出たのは、そろそろ日も暮れようとする頃だった。

「つきあってくれて、ありがと」

「どういたしまして。充実した時間をありがとう」

 上坂の目が若干うつろに見えたのは、私の気のせいだよね。そうだよね。

「あの、ちょっと夕飯には早いけど、よかったら何か食べて帰らない? おごるから」

 このまま別れるのは、さすがに悪い気がして。

 すると、上坂は少しだけ目を見開いた。


「いいよ。つか、ここは俺がおごるのが普通じゃないの?」

「なんで?」

「だって、誘ったの俺だし……」

「半日こっちにつきあわせたうえに、なおかつおごらせるだなんて、私、そこまで人でなしじゃないわよ」

 なぜだか戸惑うような顔をしていた上坂は、ふいに満面の笑みになった。