あの月が丸くなるまで

「だから俺、美希の隣に対等に立てる人間になろうと決めた。そのためにまずは、自分の夢を口に出せないことを、何かのせいにするのはもうやめる。それで、あの日、親父にはっきりと言った。大学は行かない、メイクアップアーティストになりたいって」

「それで、ケンカ?」

「うん。最初はまともに聞いてもくれなかった。それでも話を続けたら、わかってないって親父に怒鳴られて、スマホは壊されるわ殴られるわで大変だった」

「え?! 大丈夫だったの?!」

「思い切り、顔が腫れちゃってさ。そんな顔で学校行くわけにいかなくて休んだんだけど……俺も少し考えたくて、そのまま家を出てきた。母さんは、大学だけは行って趣味でやればいいって言ってたけど、それじゃ、だめなんだ。片手間じゃなくて、俺は本気でやりたい」