あの月が丸くなるまで

「松井さんに聞いたんじゃないの?」

「聞いたけど、私はちゃんと、上坂から聞きたい」

 ちら、と私を見上げて、上坂は大きくため息をついた。


「俺さ」

「うん」

 それでもしばらく迷った後、上坂は思い切ったようにはっきりと言った。

「メイクアップアーティストになりたいんだ」

 松井さんから前もって聞いていたから、それほど驚きはしなかった。

「それって、どんなことするの?」


 上坂は、立ち上がって私に椅子を勧めると、自分もキャスターのついた椅子に腰かけた。

「こないだここで、ケンジさんにヘアメイクしてもらったろ?」

「うん」

「簡単に言っちゃうと、あれが、そう」