あの月が丸くなるまで

「家に、来たの?」

 個室に入るなり、上坂が言った。以前私が入ったとことは違うけど、作りは同じだ。

「勝手に、ごめんね」

「松井さんに会ったってことは……何があったか、聞いたんだ」

「うん……」

 気まずそうに言った私に、上坂はあわてて首を振る。

「あ、いや、いずれ美希にはいろいろ話そうと思ってたからいいんだけど……なんつーか、カッコ悪いとこ、見せちゃったなあ、と」

 上坂は頭を抱えてその場に座り込んだ。



「別にカッコ悪いとは思ってないわよ。家出してるんだって?」

「あー……うん。ちょっと思うことがあって……家じゃ何かとうるさいから、ここでいろいろ考えてた」

「なんでお父様と喧嘩なんかしたの?」