あの月が丸くなるまで

「生きてたのね」

「あたりまえじゃん。なんか下から美希の声が聞こえてさ、美希不足でついに幻聴まで聞こえてきたのかと思った」

「何言ってんの。一週間も連絡なしで」

「いや、俺スマホが……っていうか、それ……」

 上坂は、私が手にしていたスマホを指さす。

「あ、これ。松井さんから預かってきた。新しいのだって」

「松井さん……」

 上坂が、一瞬顔をしかめた後、私の手を掴んで階段を昇り始めた。

「ちょ……上坂?!」

「千絵さん、一番使わせてもらうよ」

「いいけど……あんたの言ってた彼女って、その子?」

「そう! あと、俺三十分……一時間休憩ね!」

「声は漏らさないようにね」

「しねーよ!」

 優雅に笑うその女性を後にして、私たちは二階へ上がっていった。


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