あの月が丸くなるまで

 ノートにめぼしい項目を書き写しながら時折上坂を盗み見ると、やつは真剣な顔で雑誌を読んでいた。きれいな服で着飾ったモデルさんたちの写真を、上坂は、じ、と集中して見ている。流行を研究中、ってとこかしら。

 そんな上坂の今日の服装は、ざっくりとしたニットにジーパン。何気ない服装なんだけど、もしかしていろいろ計算してこうなのかな。同じジーパンなのに、私とは全然イメージが違う。……うん、同じになろうなんて、そもそも思ってないけどさ。


 雑誌を読んでいるだけのくせに、その姿はやけに様になっていて、時折、近くを通りかかる女性たちが上坂に視線をむけていく。

 やっぱり、格好いいんだなあ。

 いつの間にか私は、まじまじと上坂を見つめていた。その視線に気づいた上坂が、顔を上げて笑顔をつくる。

「ん?」

「ううん、何でもない」

 あわてて私は、手元の資料に意識を戻した。