あの月が丸くなるまで

「どうしたの?」

 その様子を見て、奥にいた落ち着いたきれいな女性が声をかけてくる。どうやらその人がお姉さんの探していたらしく、ほ、とした顔でお姉さんは話しかけた。

「あ、三井さん。この方が蓮に、って」

「蓮?」

 その人は、まじまじと私の顔を見つめる。ばっちりと化粧をしてるけど、下品な感じはしない。長くカールした髪を揺らして、その人は目を瞬いた。なんか、できる女性、って感じの大人の人だ。

「あなた、こないだ蓮と一緒にここへ来たコね」

「はい」

 覚えられていたのか。

「あ! ケンジさんのメイクした……」

 その言葉で、受付のお姉さんも思い出したらしかった。

 一度来ただけなんだけど……客商売の人って、物覚えいいなあ。