あの月が丸くなるまで

「だからって、こんな遅くに……」

「拓巳」

 まだぶつぶつ言ってる拓兄を、莉奈さんがキッチンに引っ張り込む。こっそりウィンクをくれた莉奈さんに、私は笑って手を振った。


  ☆


「え……ここ、ですか?」

 松井さんが車を止めたのは、いつか来たことのある美容室の前だった。ここで、メイクとかされたんだっけ。改めて看板を見ると『adamas』と書いてある。なんて読むの? ……アダマス? 英語じゃないわよね。


「一時間ほどしたら、またこちらにお迎えにあがります」

「一緒に行かないんですか?」