あの月が丸くなるまで

「これから男をたぶらかしに行こうという服装ではありません。最低でも、スカートははいていらっしゃい」

「た、たぶらかしに行くわけじゃ……」

「何でもいいから、着替えてきてください」

 おいやられて、私は自分の部屋へともう一度戻る。


「スカートなんていっても、私の持っているのなんて……」

 ぶつぶつ言いながら開けた私のクローゼットの一番端に。

 カーキ色のワンピース。

 結局、上坂に買ってもらっちゃったやつだ。

 私は、じーーーっとそれを睨む。

「わざわざ、あいつに会うためにおしゃれとか、そんなんじゃないからねっ! スカートなんて他にないし、ちゃんとした服装してかないと、松井さんが怖いからっ」

 誰に言うともなく言い訳をしながら、私は勢いよくパーカーを脱いだ。