あの月が丸くなるまで

「だから、蓮のことは大丈夫と言っていたのね。そうね、松井さんの言うとおりだわ。二人とも、頭を冷やす時間が必要なのよね」

 いえあの、お母様。この秘書さん、今さりげなく失礼なことを言っておりましたよ? 

 いつものことなのか、それとも本当に気づいていないのか。秘書ってこういうものなのかなあ。

 それはともかく、とりあえず、上坂が本当に無事らしいことは分かったので、ほ、とする。けれど、それと同時に疑問もわいてきた。



「でも、なぜ私にそんな話を?」

 今の話って、上坂家としては、かなり踏み込んだ話なんじゃないだろうか。そんな話を、部外者の私が聞いてもいいものなの?

 私が見上げると、松井さんは涼しい顔をして続けた。

「先日、蓮様とお二人でいらっしゃるところでお会いしましたね」

「はい」