あの月が丸くなるまで

「蓮がどこにいるのか、あなた知っていたの?」

「居場所だけは掴んでおりませんと、何かあった時に困りますので」

「でしたら、教えて下さったらよかったのに」

 お母様は、少しだけ頬を膨らませるような顔になった。なんだか……かわいらしい方なんだな。政治家の奥さんて、もっときりっとしたイメージがあったんだけど。


「先生に知られると、連れ戻せとただやみくもにおっしゃるでしょう。ですがそれでは、また同じことの繰り返しです。今は、少し時間を置いた方が良いと判断しました。奥様に黙っておくのは心苦しかったのですが、もし知ってしまった場合、奥様に知らないふりができるとは思えません」

 しれっと言った松井さんに、お母様は素直に頷く。