あの月が丸くなるまで

「少なくとも私は聞いたことがないですし、上坂君に縁のある言葉とも思えません。過去に、そんなことがあったのですか?」

「中学の時ですけどね。やはり、政治家の息子ということで、心無いことを言う友達もおりましたの」

「もしかして、上坂君が休んでいるのって、それが原因なんですか?」

 ものすごく違和感あるけど、話の流れとしたら、そういうこと?

「いえ、それは、また別の……」

 言いかけたお母様は少し躊躇するように、私の顔を見た。それから、ほう、と小さくため息をつく。