あの月が丸くなるまで

  ☆


「こちらへどうぞ」

 車をしまってくる、という松井さんの代わりに、若いお手伝いさんが客間らしいところへと案内してくれた。ソファに座ってしばらく待っていると、そのお手伝いさんが紅茶を持ってきてくれる。

 カップは二つ。

 松井さんの分かな。


 一人になった部屋で、のんきにお茶を飲んでいると、ドアが開いた。入ってきた人を見て、私はあわてて立ち上がる。

 落ち着いた感じの、綺麗な年配の女性だった。以前、その顔をテレビで見たことがある。

 上坂の、お母様だ。