あの月が丸くなるまで

「私を、試したんですか?」

「その人の本性を知るには、怒らせてみるのが一番手っ取り早いですから」

 言いながらその男性は、一枚の名刺を渡してくれる。

「上坂議員の第一秘書で、松井と申します」

「鷹ノ森高校三年の、梶原美希です」

「どうぞ、お入りください」

 松井さんは、私を家に入るように促す。

「いえ! あの、あれが生きてるかどうかだけわかれば……」

「とりあえず、生きてはおります。ですが、私の方でも、あなたに少しお願いしたいことがございますので」

「はあ……」

 なんだかよくわからないまま、私は上坂の家にお邪魔することになってしまった。